『In-Flight Painting』について、ヴィヴィアン佐藤氏からレビューを頂きました
力作の数々!!!
青山のビストロバー「サローネ」の壁面にも、この迷路型で「肖像画シリーズ」が展開されておりました。
「肖像画シリーズ」は、世界の偉人たちのものでした。
今回は飛行中の飛行機の中、高度10,000メートル、時速800キロ、時差、記憶、夢、幽体離脱、、、というワードも彷彿させます。
「寝画」との関連も。。。
健ちゃんが好きな映画『インターステラー』的でもありますが、飛行機といえば『インセプション』的でもあります。
飛行時間と地表上地図的な空間と高度のある移動空間、そして飛行機内空間に折り畳まれた、様々なものが交錯し表出した表象。そもそも飛行機とは空に描かれた飛行ドローイングの軌跡でもあり、走りきった生き様の軌跡でもあります。
また、「迷宮」を作ることも大変示唆的です。(迷宮なのでしょうか? それとも内蔵か?内蔵もまたある見えないプロセスを経て、吸収されエネルギーに変換され、消化し変化していくものとして象徴的です。。。いったいどうちらでしょうか、、、? w)
そして、「雲」の存在。
「雲」にはあえて侵入できない、不可侵の領域なのかという問題です。
「雲」の領域は、上空では雲ですが、それも象徴的で、人智の及ばない侵入することが決してできない領域、ヴォイドのような空間なのでしょうか。。。。インターステラー的でもあります。
旅券が作品の下部に添付されてありますが、上部の作品本体=下部の旅券だとすると、作品はもしかしたら本当に飛行時間きっかり、途中で投げ出したり、未完でももしかしたらいいのかもしれません。「飛行時間」に行われた行為、物語でもあるのです。
「貨幣=旅券=座席の空間、大きさ(領土)=飛行時間=飛行速度=飛行高度=飛行体験=消化行為=睡眠=夢=幽体離脱、、、、=作品」
「飛行時間」というアイディアを使用するのであれば、それはいわゆる完成という形態はありえず、また四角いキャンバスやフレームという概念は西洋が考えたものでもあります。
私の細密画もしかりですが、空間を埋める手法と、間を生かす手法とに分かれます。
空間を埋める手法は「空間恐怖」と言って、ケルト模様やウルトラバロックといわれるものです。ちょうど蜘蛛を空間に放つとその空間のフレームを使ってどんどん巣を編んでいきます。その感覚に似ております。。。
飛行時間に自ら迷宮を作り、怪物ミノタウルスを閉じ込める行為。
もしくはアリアドネの麻ひも、もしくは蜘蛛の糸が連鎖されます。。。。
そういった神話もまた彷彿されました。。。
text: Vivienne Sato